アスベスト(石綿)障害
 最近、アスベスト(石綿)による健康被害が毎日のように報道されています。アスベストはその便利さから、さまざまな分野で大量に使用されてきました。欧米ではアスベストによる健康被害調査にいち早く取り組み、その使用を全面的に禁止しました。今回、大阪市の大手機械メーカー「クボタ」の被害発覚をきっかけにアスベスト製品の製造などにかかわった企業で多くの死亡者や療養者がいることが経済産業省や厚生労働省の調べで明らかとなりました。また被害者は従業員ばかりでなく、出入り業者や家族にまでおよび、周辺住民にも発生している可能性があり、政府の対応が問われるとともに、公害の様相も呈してきました。

1.アスベストとは

 アスベストはある種の岩石の分解により生成された天然の鉱物の一種で、「奇跡の鉱物」といわれるほど多くの長所を備えていたため、世界中でいろいろな分野に使用されてきました。アスベストは目に見えない小さな繊維状の物質で1000分の1mmほどの大きさです。外観は絹のような光沢を有するものもあり、色も白色から、灰色、青色などさまざまです。
 アスベストは、蛇紋石族石綿と角閃石族石綿に大別されます(図1)。蛇紋石はクリソタイル1種類のみで、これまで世界で使用されてきたアスベストの約9割以上をしめています。

2.アスベストはどんなところに使われていましたか?
 アスベストは建築物の屋根、断熱材、耐火材のほか、鉄道車両の断熱・防音材として利用されたり、自動車のブレーキ、配管、エンジンの断熱、消防服など、身近なところで使用されてきました。
 「燃えない」という利点から耐火構造物などの不燃材料として利用されたり、「石綿」とも呼ばれるように綿のように「軽い」ので屋根や天井に使われたり、「機密性が高い」ので断熱材、保温材、吸音材としてボイラー配管や加熱炉の保温材などに使われ、さらに「粘着性がある」ので、塗料やセメントなどに混ぜて使用されました。そのほか「減らない」「頑丈」「加工しやすい」など、多くの特徴から国内での使用量は1960年代から急激に増加し、ピーク時には年間35万トンのアスベストが輸入され、3000種類以上ものアスベスト製品が存在していました(図2)。
3.アスベストがもたらす健康障害
 アスベストがもたらす健康障害(図3)として、アスベスト肺(じん肺のひとつ)、肺がん、および悪性中皮腫の3つをあげることができます。

1. アスベスト肺 
 アスベストの繊維を吸入することによって肺が繊維化してしまう肺繊維症という病気のひとつです。症状としては階段や坂道を歩くときなどの息切れがみられ、進行すれば呼吸困難が認められるようになります。

2. 肺がん(図4)
肺 の細胞に取り込まれたアスベスト繊維の物理的刺激により肺がんが発生すると考えられています。

3. 悪性中皮腫(図5)
 肺を取り囲む胸膜や肝臓、胃などを取り囲む腹膜などにできる悪性腫瘍です。息切れや咳、胸痛などの自覚症状が認められます。また、胸膜肥厚斑(図6)がよく散見されます。悪性中皮腫の診断はCT検査や患部の組織をとって検査する必要があり、見つかったときには進行していることが多いという難点があります。発見
されてから1〜2年以内に亡くなることが多く、5年以上生存されているケースは極めて少ないというのが現状です。







               医療法人将優会 クリニックうしたに
                    理事長・院長 牛谷義秀