乳癌検診をみなおす

−超音波検査とマンモグラフィー検査−

 年間3万人の人が乳癌にかかり、1万人もの人が乳癌で命を落とされています。そこで昨年4月、厚生労働省はこれまで視触診が中心だった乳癌検診では早期発見につながらず、乳癌死亡率の低下につながっていないため、「40歳以上の女性にマンモグラフィー検査を実施すべきだ」との報告を出しました。マンモグラフィーの「マンマ(mamma)」とはラテン語で「乳房」のことで、乳房のレントゲン写真をとることを「マンモグラフィー」と読んでいます。マンモグラフィー検査による乳癌検診を導入しようという動きが広がっていますが、はたしてマンモグラフィー検査はどれくらい有用なのでしょうか?

1.乳癌検診

従来から行われてきた医師が「視て触診をする」乳癌検診よりも、乳癌の発見率が高いと考えられているマンモグラフィー検査が全国的に広がる傾向にあります。しかし、高価な器械であるため一般開業医にはその導入がなかなか困難なことやマンモグラフィー検査に熟練した医師や実際に撮影を担当するレントゲン技師が少ないため、それが普及するにはまだまだ時間がかかりそうです。乳癌は下図に示されるように発生部位に頻度の差が見られます。

      

2.マンモグラフィー検査

マンモグラフィー検査は特殊なレントゲン撮影器械を使って乳房を上下、左右にはさみ、エックス線を照射して撮影し、乳癌の有無を確認するものです。エックス線が通過しやすい乳房の脂肪部分は黒く写りますが、腫瘍があるとエックス線の通過がさえぎられて白く写るため、乳癌の発見につながるというものです。
 ところが更年期をむかえる以前の40歳代の女性の乳房は乳汁を作る乳腺組織がしっかり詰まっているため、このすぐれものと考えられているマンモグラフィー検査で4人に1人は乳癌を見落とされる可能性がある、との報告があります。一般的に乳腺組織の密度は40歳代までの人は濃く、更年期をむかえて女性ホルモンが減ると薄くなります。報告によれば40歳代の40%が乳房全体が白く写る高濃度乳腺であり、このことが40歳代の乳癌の発見を困難にしています。またマンモグラフィー検査は乳房をはさみこみ圧迫して撮影する方法のため、比較的乳房が大きい欧米女性は苦痛なく検査を受けられるものの、日本人女性には幾分不向きとも考えられています。
 さらに、乳癌が疑われながらマンモグラフィー検査では発見されず、超音波検査で乳癌と診断され手術に至った患者は全乳癌患者の24%にのぼった、との報告もあり、マンモグラフィー検査が万能でないことも考慮しておく必要があります。
               
 マンモグラフィーで見た乳房 実際のマンモグラフィ


1)撮影方法
 乳房をはさみながら圧迫して
上下方向から1枚、左右方向から1枚撮影します。この
 際、
乳房を 均等に薄く広げるために圧迫するので、人によっては痛みを強く訴え
 る人もいます。

2)撮影時期
 生理前にはホルモンの作用で乳房がはって痛むことがありますので、マンモグラフ
 ィー検査は 生理が終わって4〜5日間に受けられるとよいでしょう。

3)検診の頻度
 マンモグラフィー検査は視触診とあわせて2年に1回以上の頻度がよいといわれて

 ます。



マンモグラフィーってこんな装置です             乳房を挟むので人によっては痛いかも?

マンモグラフィー撮影装置               マンモグラフィー撮影の実際


3.超音波検査

 マンモグラフィー検査に対して、超音波検査は検査中の痛みがなく放射線被爆がない上に、マンモグラフィー検査のような乳腺の濃度による影響をあまり受けないため、特に乳腺の豊富な若い年齢層の乳癌検診に最も効果を期待できる検査法だと考えられています。またマンモグラフィー検査がレントゲン撮影室で上半身はだかになって乳房を露出しなければならないため、羞恥心の強い若い年齢層の女性にとっては受診に大きな抵抗感があり、検診率の上昇にはつながっていないのが実情です。
 また40歳代の患者の乳癌を読み取れない割合は超音波検査で13%と言われていますが、それでもマンモグラフィー検査より少ない割合となっています。超音波検査とマンモグラフィー検査が併用できれば乳癌の見落としが極めて少なくなることが期待できますが、現在の医療現場では限界があると言わざるを得ません。

4.専門医

 最近では規制緩和により、いろいろな診療科目や技術の専門医が広告できるようになりホームページでも閲覧できるようになりました。乳癌にかかわる専門医としては外科や婦人科など実際に手術を担当する乳腺外科専門医のほか、乳癌の診断に必要な超音波専門医などの専門医制度で認定された先生が少しずつ増えてきました。経験豊富な専門医による診断や治療が大切となってきます。

5.宮崎市の乳癌検診

 宮崎市では平成18年度(6月)からの乳癌検診に超音波検診が取り入れられることになりました。これまでの視触診のみの検診に比べて乳癌の早期発見率が高まり、多くの女性の命が救われることが期待できます。


                                      医療法人将優会クリニックうしたに
                                理事長・院長 牛谷義秀
※ 乳癌は唯一自己検診で発見が可能!

乳癌は内臓の癌と違って体表面にできるので自己検診で見つけることができます。調べるのは生理の後、4〜5日間が適しています。

1.鏡の前に立ち、腕をたらして左右の乳房の形、皮膚、乳首の
  変化、左右差などを調べます。


2.手を腰にあてて乳房のゆがみを観察したのち、両手を挙上し

  てして同じよ同じように変化をみます。皮膚のささいなへこ

  み
ひきつれふくらみなどがないか、確認します。


3.湯船で体を温めたあと、石けんを体につけて反対側の手で左

  
右の乳房をさわってみましょう。手をひろげて指腹で下方か

  ら乳房をすくい上げて異常なしこりの有無を確かめます。


4.人差し指から小指までの指腹をそろえて、石けんで指をすべ


  らせながらしこりをさがします。


5.湯上り後、乳房の下に座布団を1枚敷いて右手の人差し指か

  小指までをそろえて軽く移動しながら触ります。


6.
乳房をまんべんなくすべての範囲を触るのが原則ですが、特に


  乳房の上半分、さらに脇の下方向の部分に乳癌が多く発生する

  ので注意しましょう。


7.
脇の下に手を入れて異常なリンパ節がないか、また乳輪部分

  やや強くつまんで乳首から異常な分泌物がないか、乳頭に
湿疹

  やただれがないか調べます。


社団法人宮崎県トラック協会