『かぶれ(接触性皮膚炎)』

ある物質に接触することによっておこるかぶれを接触性皮膚炎とよんでいます。接触性皮膚炎の原因として「うるし」が有名ですが、そのほかにも洗剤、ぎんなん、けむしなどもその原因としてよく知られています。

1.接触性皮膚炎とは

「野原をかけまわったら、ほかの人は何ともないのに自分だけ、皮膚がかゆくなったり、赤くなったりした」と外来にこられる子供さんがおられます。「同じものを食べたのに吐いたり、下痢したのは私だけなんです」といって病院に駆け込む人のアレルギー症状と病態的には似ています。外部刺激から皮膚を守るように皮膚にはもともとバリア機能があり、このバリア機能の強さによって、皮膚炎の出かたには個人差が生じます。個人差は皮膚がじょうぶな人、弱い人と表現されるのが一般的ですが、同じ人でも接触した場所によっては炎症の程度が異なってしまうこともあります。また、皮膚炎は体調や皮膚の状態、さらには免疫力が低下していないかどうかによっても変わってきます。
2.接触性皮膚炎の原因物質は?
 接触性皮膚炎の原因となりやすいものとして、先ほど述べた以外に化粧品、整髪料、石鹸、農薬、ゴム、絆創膏、指輪、時計のバンド、ピアスなどがあげられます(表1)。

3.接触性皮膚炎の症状

接触した部分(暴露部分)にはさまざまな症状があらわれます。

   @      かゆみ
A      発赤や熱感
B      はれや痛み
C      発疹や水泡
D      しみだしや排膿
E      魚鱗(さかなのうろこ)状皮膚病変<慢性期>

4.接触性皮膚炎の診断
 化粧品をぬって、ぬった部分がかゆくなったり赤くなったりすればその化粧品がかぶれの原因であることは誰でもわかるでしょう。しかしながら、接触性皮膚炎が疑われながら何が直接的な原因物質なのかはっきりしないこともよく経験することです。このような時には原因物質と考えられるものを直接または「ろ紙やリント布」と呼ばれる検査専用物にぬって、これを腕や背中に48時間貼って発赤や水泡形成などの皮膚反応を観察する『パッチテスト』が一般的に行われます。またゴムの中に含まれる一成分やある果物のエキスが原因と考えられるような場合などには、それぞれの液がついた針で、言わば皮膚を引っかくようにして検査する『プリックテスト』を行います。
 
パッチテストやプリックテストなどのアレルギーテストで発赤や水泡形成などの皮膚反応が出現すれば陽性と考えられ、接触性皮膚炎の原因物質が明らかとなります。しかしながら、「陰性であってもその物質が100%原因物質ではないと断言できない」ことも考慮しておく必要があります

5.接触性皮膚炎の予防と治療

すでに接触性皮膚炎をおこす原因物質がわかっていれば、その原因物質との接触を避けることが最良の予防法です。接触が避けられない場合には手袋や保護具の使用が必要となります。
接触性皮膚炎が職業病として発生しているケースがあります。一日中洗髪をしている美容師は石鹸やシャンプーなどで手の脂が流されてバリア機能が低下し、激しい湿疹を引き起こします。また同じ理由から台所を預かる主婦の手も湿疹や手荒れが高度となり、『主婦湿疹(手湿疹)』として有名です。さらにセメントに含まれる六価クロムが原因のかぶれや自動車の切削油、農薬によるかぶれ、菊による皮膚炎も有名ですが、いずれも接触の機会をできるだけ避ける努力が必要です。やむなく原因物質が付着してしまったら、すぐに多量の水で洗浄することが大切です。

 ―接触性皮膚炎の治療法―

1)外用ステロイドを使用するのが一般的ですが、皮膚の炎症の程度に合わせたステロイド剤を使いわける必要があり、自己判断の治療は悪化したり慢性化したりする懸念があるため、主治医の先生に一度よく見てもらいましょう。

2)かゆみがひどい場合は抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬の投与を行います。

  問題となるのは、職業の特性に基づいた接触性皮膚炎です。一日中石鹸やシャンプーなどを使わざるを得ない美容師は手袋をすることもままならず、美容師という職業そのものを断念せざるを得ない人もいます。また、職業によっては配置換えや転職が必要となり、深刻な問題となることがあります。

化学技術の発達や生活環境の変化、さらに自然環境の悪化で新しい原因物質がますます増え続けています。自分がどんなものに対してかぶれを起こしやすいのか、知っておくことはとても大切なことです。

1 接触性皮膚炎を引き起こす物質

 
 

 因

 物

 質

植 物

金 属

化粧品類

医薬品

そのほか

・   うるし

・  ぎんなん

・   ブタクサ

・   サクラソウ
  など

・   クロム

・   ニッケル水銀 

・  

・  

・   プラチナなど

・   香水

・   染毛剤

・   マニキュア液

・   防臭剤

・   日焼け止め

・   シェイビングク  リームなど

・   抗生物質

・   局所麻酔剤  など

・   洗剤

・   ゴム

・   皮革

・   灯油

・   防錆類

・   接着剤など