閉塞性動脈硬化症』

手足の先にしびれや冷感、痛みを訴える中年の男性が増えてきています。このような症状をおこす病気のおもな原因は『閉塞性動脈硬化症』で、女性より男性に多い傾向にあります。閉塞性動脈硬化症は動脈硬化によって手足先へ向かう動脈が狭くなったり詰まったりして、酸素がかよわない状態となり、最後には手足が腐ってしまう恐い病気です。新型肺炎SARSはひとまず終息したと伝えられましたが、9月はじめに再びシンガポールで新型肺炎患者の発病が懸念されるとの報道がありました。新型肺炎の原因の詳細が明らかになっていない中で、その治療法が確立されていない現状は人類にとって大きな脅威であることは間違いありません。

1.    閉塞性動脈硬化症とは

  閉塞性動脈硬化症は比較的大きな血管がつまってしまった結果、図1のように手足が腐ってしまい黒色に変化して、最悪の場合には切断しなくてはならない状態になってしまいます。

2.閉塞性動脈硬化症の原因

2.閉塞性動脈硬化症の原因

  血管が閉塞する原因として高血圧、糖尿病、高脂血症、タバコなどが考えられています。また肥満、ストレス、深酒、運動不足も関連があると考えられています。一般的に動脈硬化の成立は血管の壁にコレステロールや石灰分が沈着して、動脈壁が硬くなったり狭くなったりして、次第に閉塞していきます。このため血液が通りにくくなり、また詰まりやすくなります。なかでも直接的に最も強く影響するのはたばこと考えられています。

3.閉塞性動脈硬化症の症状および重症度分類         

1 閉塞性動脈硬化症の症状および重症度分類

重症度

フォンテイン分類

1期

しびれ・冷感

足のしびれや冷感を感じるようになる

2期

間欠跛行期

ある距離を歩くと痛みが出て歩けなくなり、休息すると再び歩けるようになる

3期

安静時疼痛期

じっと安静にしていても痛むようになる

4期

潰瘍・壊死期

血流の悪いところから皮膚の潰瘍や壊死がおこり早急に処置をしないと切断の必要が出てくる

          

閉塞性動脈硬化症の重症度はフォンテイン分類によって示されます(1)。動脈の閉塞が始まると最初は無症状のことがありますが、次第に足の冷汗が出現してくるようになります(1期)。歩行するとふくらはぎに激しい痛みが出現するようになりますが、しばらく休むと再び歩くことができるようになります(2期)。これは間欠(かんけつ)跛行(はこう)(図2)と呼ばれ、これは動脈の閉塞により歩行時に血液の供給が間に合わず歩行障害となりますが、多くは立ったままの休息で再び歩けるようになります。もちろん痛みが徐々に出現するケースばかりでなく、思い当たる理由もないのに突然ふくらはぎの痛みで目が覚め、一晩中眠れなかったと訴えられる方もまれにおられます(3期)。血流の悪いところから皮膚の潰瘍や壊死がおこってしまうため、早急に処置をしないと手足の切断が必要となる場合があります.(4期)

                                   

     

   2 間欠跛行 

1.     歩行中、ふくらはぎの痛みで歩けなくなる
2. 立ったまま休息をとる

3.    休息のあと再び歩けるようになる
   

4.  閉塞性動脈硬化症の検査方法

1)       足背動脈の触知(図3および図5 矢印)

3 足背動脈の触知

足の甲に脈を触れるかどうかを 確認する

2)       腕・膝窩(しっか)(膝の裏)・足首での血圧測定

    3ヶ所での血圧測定は動脈硬化の程度の予測も可能である

3)       超音波検査

   股関節部や膝裏での超音波検査は動脈内の閉塞状態を観察できる。

  また、脈が触れにくい場合はドップラー血流計で血流音を測定する

4 ドップラー血流計による血流測定

4)       血管造影(図5

造影剤を使った検査で血管のつまった場所が明らかとなる

5.閉塞性動脈硬化症の予防と治療

閉塞性動脈硬化症は手足だけでなく全身で起こる可能性があります。閉塞部位によっては狭心症、心筋梗塞のほか脳梗塞に代表される脳卒中をも合併する危険があります。

1)      まずは閉塞性動脈硬化症と関連があると考えられている高血圧、糖尿病、高脂血症および喫煙などの危険因子をできるだけ除外することが大切です。とくにタバコの中に含まれているニコチンと一酸化炭素が動脈硬化を促進することが知られています。また毎日歩くことにより、本来の動脈が拡大、成長して詰まった血管の働きを代償するバイパス血管(側副血行路)が発達し、血流が改善してきます。

2)       日常生活での注意点

手足の保温に心がけ、清潔を保つことが大切です。爪を切る際には深爪をしないように注意しましょう。また快適な温度設定に心がけ、また長時間の起立やしゃがみこむ姿勢はできるだけ避けるようにしましょう。

3)       食事での注意点

   脂肪分の多い食事は控えましょう。また減塩に心がけ、できるだけ標準体重を維持しましょう。水分が足りないと血液が濃くなり流れが悪くなって血管が詰まりやすくなります。夏場や運動のあとは脱水にならないようにできるだけ多めに水分をとるように心がけましょう。

4) 治療法は表に示すように、薬物療法、理学療法、外科療法の3つがあります。いずれの治療法もタイミングを逃してしまうと回復するどころか、自分の足で歩くことができなくなる危険性も十分にあります。

         

治療の種類

内         容

薬物療法

抗血栓療法(抗凝固剤、抗血小板剤) 血管拡張剤療法

理学療法

マッサージ   運動療法(体操、歩行)

外科療法

血管形成術(バルーン拡張、ステント挿入)血管内膜摘除術 バイパス手術

先にあげた発病の原因となる病気を指摘されていながら、症状がないからと放置していると大変な事態に発展しかねません。主治医の指導をよく守ってよりよい状態を保てるように努力しましょう。