『口臭は病気のサイン?』

口臭が気になって外来を受診される患者さんの中には「胃腸が悪いから!」と決めつけて胃の検査を希望されることがよくあります。
これとは反対に自分の口臭をまったく自覚していない方も多数おられます。
口臭がまったくない人は実際にはいらっしゃいません。
問題は口臭の強さなのですが、ガスクロマトグラフィーという特殊な方法で口臭レベルを計測することもできます。
それにしても口臭の正体はいったい何なのでしょうか?


口臭の原因のほとんどは口の中にある

毎日一生懸命歯をみがいているのだから、口臭の原因は口の中ではなく胃などのほかの場所にあるのではないか!と思い込んでいる方が圧倒的に多いのです。
「お口、クチュクチュ・・・」というコマーシャルが流行して以来、清潔志向も重なって口臭は身近な問題となっているようですが、実はその正体のほとんどが(1)歯と歯ぐきの病気、(2)舌の表面にできるコケ、いわゆる舌苔(ぜつたい)の2つであることはあまり知られていません。
歯と歯ぐきの病気として代表的なものは歯周病であり、歯と歯ぐきの間にできる歯周ポケットが問題であるといわれています。歯周ポケットと舌苔に生息する口臭産生菌は共通であり、この細菌が口の中のたんぱく質を分解して老廃物として出す硫黄酸化物が気化したものが口臭の原因です。
歯をみがき、歯ぐきをブラッシングする人は多いのですが、歯間ブラシやデンタルフロスなどで歯の間を手入れする方はまだ決して多いとはいえません。
また歯周ポケットに気をつけている方はさらに少ないといわれています。
特に歯周ポケットをもっている方は定期的に手入れをしてもらうのがよいでしょう。
一方、歯の表面にこびりついている歯石の除去もたいへん大切だといわれています。
また「歯は1日2〜3回みがくけど舌はみがいたことないよ!」という方がほとんどだと思います。
このようにして考えてきますと、まずは「歯科受診」が効果的ということになります。
歯が悪いとさまざまな内科的疾患もかかえてしまいがちです。口からはじまる健康づくりが大切です。
そこでかかりつけの歯科医を見つけていろいろな口内のケアを学ぶことがとても大切になってきます。

口臭に関連した内科的疾患

日頃外来の患者さんに接しておりますと時には口臭の強い方がおられます。
たずねられればそれなりにお答えしますが、明らかに歯や舌苔によるものだと分かっても受診の目的が口臭にないわけですから「口臭」について積極的にお伝えすることはまずありません。
逆に、私ども医療者も自分のにおいや食後のコーヒーのかおりや口臭がないか、患者さんには気を使っています。
自分で自分の口臭に気づくことはたいへんむつかしいといわれていますし、他人がストレートに口臭を指摘してくれることも期待できません。
友人や上司、とくに異性から指摘されようものなら心深く傷ついてしまうことでしょう。
ですから何でもいってもらえる家族からの指摘が最も大切といえます。
さて、内科的疾患が原因で口臭をひきおこすこともありますが、日常の診療で他人に不快感を与えてしまうほど強烈な口臭を経験することはほとんどありません。糖尿病でアセトンという物質が血中にたまるとあまいにおいがしたり、肝臓が悪いと独特なアンモニア臭がすることが知られています。
またリウマチの患者さんにステロイドを使うような場合に舌の上にカンジダといってかびの一種が生えることがあってこれが口臭の原因になることがありますが、決して気分を害するほどのものではありません。
口臭が強くないのにあると思い込んでいる人が多いかと思えば、本人は自覚してないものの実際には口臭が強い人もいらっしゃいます。
統計的に明白なことは口臭の原因の約80%以上は歯周病と関係あるということです。
またその歯周病は肥満と関係あるとされており、心あたりの方は注意しましょう。
何はともあれ、からだの定期検診もさることながら定期的に歯科検診を受けることが大切といえましょう。

クリニックうしたに 院長 牛谷義秀