過敏性腸症候群はストレスの多い社会に発症した申し子といえましょう。この病気はストレスに過敏な人がなりやすい病気と考えられています。病院では、「ストレスが原因ですから、あまり考えすぎないようにしましょう」と指導されることが多いのですが、当人にとってみればつらくてやっかいな病気です。


『過敏性腸症候群』とは
 ストレスに敏感に反応する人の中に、「下痢」や「便秘」を繰り返すことでつらい思いをしている人がいらっしゃいます。過度の緊張や不安、ストレスなどによって腸(小腸、大腸)の運動異常が誘発されて腹痛や便の異常が発生します。これが『過敏性腸症候群』で、ストレスが多いといわれる現代社会ではこの病気に悩まされている人がさらに増加傾向であり、実に成人の10〜20%がかかっているといわれています。一方胃腸科や消化器科を受診する患者の50%前後がこの病気に悩まされているといわれており、ポピュラーな病気ともいえましょう。

『過敏性腸症候群』にどうしてなるの?

  腸は通常一定のリズムで、食べたものを消化吸収しながら食道から肛門まで運んでいきます。さまざまな不安や緊張がストレスとして、自律神経を介して胃や腸に伝えられリズムを狂わせてしまいます。腸の動きが活発になると下痢になり、弱くなると便秘になると考えられています。したがって過敏性腸症候群は『下痢型』と『便秘型』のほか、下痢と便秘を繰り返す『交代型』の3つに分類されます

『過敏性腸症候群』の特徴

仕事や対人関係での悩み、繰り返される転勤などがストレスとなるサラリーマンや受験を間近に控えた学生を中心に増えたといわれていますが、一般的には若い女性に最も多いと考えられています。また腹痛をともなう下痢や便秘がおもな症状ですが、この際の腹痛は一定せず、漠然としていることが多いとされています。またストレスから解き放たれている睡眠中には症状が出ないというのも大きな特徴です。

『過敏性腸症候群』の診断

『過敏性腸症候群』は、レントゲン検査や内視鏡検査、血液検査などで大腸癌や潰瘍性大腸炎、クローン病などの重大な病気でないことをまず確認する必要があります。これらの検査やいくつかの症状の組み合わせで過敏性腸症候群と診断します。
過敏性腸症候群』の治療
ライフスタイルの改善とストレスのコントロールが治療の主眼といえましょう。患者が育った環境や食生活、生活習慣、職場環境が大きく関与していると考えられています。ストレスの原因と考えられるものは努めて除外する必要があります。

1)まずはストレスの原因を知る
ストレスが人間関係の難しさからきているのか、学業や業績からきているのかなど、原因のありかをしっかり見極めることが大切です。

2)十分な睡眠時間をとり、規則正しい生活をしましょう。

3)趣味やスポーツでストレスを発散し、自律神経のバランスをくずさないようにしましょう。

4)暴飲暴食をさけることが前提です。下痢のときはアルコールや香辛料を控え、牛乳やコーヒーも制限しましょう。逆に便秘がしつこいときにはトイレに行く習慣をつけたり、乳製品をとるように心がけたらよいでしょう。いずれのタイプにも食物繊維をたくさんとるのが効果的とされています。

最近では下痢や便秘を整える薬のほかに、ストレスがもたらす不安感をやわらげる薬や下痢、便秘の両方に効果のある薬も開発されています。いずれも症状に応じた薬剤を服用していただきますが、簡単に薬を飲めば治るというものではないので気長に付き合っていくことも大切です。お腹に集中した余計な注意を発散させることが病気を治す近道と考えたいものです。