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関節リウマチも早期発見・早期治療が大切!
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膝などの関節リウマチが進行して変形、膝折れがして痛みが強くて歩けなくなった、という人に出会います。古くから関節リウマチは難治性の病気とされ、現在でも治療に難渋する疾患と考えられています。しかし、関節リウマチの骨破壊は発症早期に急激に進行することが明らかになり、これまでになく早期診断・早期治療の重要性が強調されるようになりました。関節炎が進行すると骨・軟骨の破壊され関節機能が低下し、ひいては日常生活レベルが大きく低下することになります。


1.関節リウマチとは?

慢性関節リウマチ(RA:rheumatoid arthritis)は全身の関節を慢性的に持続的に、かつ骨を破壊しながら進行する多発性関節炎を特徴とする全身性の炎症性疾患と考えられており、また関節外のさまざまな臓器にも合併症をともなう全身性の自己免疫性疾患です。
日本には関節リウマチの患者さんが50万〜70万人いると考えられています。古代ギリシャにおいて、関節炎をひきおこす全身性疾患は「体液の流れ=リウマチ」からおこるとの概念が生まれ、その後欧米では近代に至るまで関節炎を起こす疾患群を「リウマチ」と呼んできました。最近では、比較的急性に発症し、慢性的に経過する全身性破壊性関節炎を「関節リウマチ」とする考え方が生まれました。


2.関節リウマチの原因

関節リウマチには疼痛(いたみ)、腫脹(はれ)、発赤、熱感というような炎症の4徴候がみられます。この関節の主な病態は慢性炎症性滑膜であり、これには自己免疫機序が基礎に関与しているが判明しています。関節リウマチは進行性骨破壊をともなう多発性の関節炎を主症状とし、肺、腎臓、皮膚などに病変をともなうことが多い全身性炎症性疾患です。


3.関節リウマチの早期診断方法

関節リウマチは決して元にもどれない骨関節破壊や関節機能障害がおこる前に的確に診断し、適切に治療することが大切なことはいうまでもありません。関節リウマチを早期に診断するために、これまで実施されてきた血液検査、レントゲン検査のほか、最近ではMRI検査や関節エコー検査が有用と考えられ、重要な検査手段となっています。

(1)血液検査
  1. リウマトイド因子(RF):1940年に発見された最も古い自己抗体のひとつで、長い間リウマチ診断に用いられた唯一の血清マーカーでしたが、リウマチ以外の疾患(膠原病、肝疾患、慢性感染症)や健常人でも陽性となることがあり、またリウマチの早期の段階では陽性率が低く、進行してから陽性になる場合も少なくありません。
  2. 抗ガラクトース欠損IgG抗体:リウマチの患者がこの検査で確かに陽性となる確率(感度)はリウマトイド因子よりもさらに高いものの、関節リウマチ以外の膠原病や慢性炎症性疾患でも陽性となることがあり、結果が陽性だからといってすべてがリウマチだと極言はできません。関節リウマチが疑われながらも、リウマトイド因子が陰性の場合には非常に有効と考えられます。
  3. 抗シトルリン化蛋白抗体(抗CCP[ cyclic citrullinated peptide]抗体):抗CCP抗体は関節リウマチの発症早期やリウマトイド因子陰性例に検出され、一部は発症前からも検出されることがあります。また抗CCP抗体が陽性であれば関節リウマチの可能性が極めて高く、また関節リウマチの関節破壊の進行度と相関することから、関節破壊の予測因子となる可能性があります。しかし残念ながらまだ保険適応が認められていません。
  4. MMP(マトリックスメタロプロテアーゼ)−3:関節の滑膜から作られる中性プロテアーゼの一種で、軟骨の細胞外マトリックスであるプロテオグリカンを分解する酵素です。関節リウマチ患者の血清中と滑液中で上昇するため、滑膜炎、関節破壊像の鋭敏な指標として活用されています。
(2)画像検査
1)レントゲン検査

1857年イギリスのアダムスは視診・触診による関節リウマチの関節変化を鋭く描写しています。1895年以降、骨・関節の診断学は飛躍的に進歩しました。関節リウマチはX線像で骨破壊、骨萎縮、軟部組織の腫大がみとめられます。

2)関節MRI

関節MRI(核磁気共鳴画像)ではX線では検出できない早期の骨びらんを描出することが可能です。また造影剤を使うと炎症がおよんだ滑膜を明瞭に描出することも可能なため、関節リウマチの早期診断に用いられるようになりました。これらの変化は単純レントゲンで所見が出現する以前に変化が認められるといわれています。

3)関節エコー

関節エコー検査はMRIに比べて長時間を費やすこともなく簡便で費用が安く、放射線被爆がない、などの理由から、最近その検査価値が見直されてきました。 関節エコーでは滑膜の肥厚や関節液の貯留、骨びらんのほか、滑膜内血流評価により関節炎の活動性評価に役立ちます。


4.関節リウマチの治療

関節リウマチにおける治療の目的は治療を適切に行って身体的、精神的、社会的な生活の質を向上させることにあります。

(1)薬物治療

関節リウマチに対する治療成績の向上は治療薬の飛躍的な進歩とともにあるといってよいでしょう。関節リウマチの治療は薬物治療が基本であり、最近では疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs: Disease Modifying anti-rheumatic Drugs)や生物学的製剤などの抗リウマチ薬を使用し、非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs: Non-Steroidal Anti-Inflammatory Drugs )やステロイド薬を補助的に用いるという考え方が一般的となってきつつあります。

アメリカリウマチ学会では早期より抗リウマチ薬を積極的に使用して関節破壊を阻止し、日常生活の改善をはかることを提唱しています。今日の薬物治療の主役は従来使われてきたステロイド薬や非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)から、疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)に変わりつつあります。関節リウマチによる骨破壊が始まる前に適切な薬物治療を開始することがとても大切なのです。関節リウマチに使われる治療薬について説明しておきましょう。

1)非ステロイド抗炎症薬(NSAIDs)

NSAIDsは現在に至るまで関節リウマチの対症療法の中心となっていますが、これらは19世紀にサリチル酸が使われたことに始まります。最近では副作用として多い胃腸障害を少なくしたNSAIDsも開発されています。

2.ステロイド治療

Henchmらは1949年関節リウマチ患者に対してステロイド治療を行い、そのステロイドの劇的な抗炎症効果を報告して、1950年ノーベル賞を受賞しています。ステロイド薬は強力な抗炎症作用を有し、リウマチの関節炎を迅速かつ効果的に抑制するため、リウマチ患者の痛みなどを著明に改善します。しかしながら一度ステロイドを開始すると、使わないではいられないという依存性が生じ中止しにくくなる傾向が生じ、長期使用でおこる副作用や合併症から生命に危機的な影響をおよぼすことも明らかになってきています。ステロイド薬の重篤な副作用は結核などの感染症、胃潰瘍、精神症状、副腎皮質機能不全などのほか、腰椎圧迫骨折や大腿骨頚部骨折など寝たきりの原因となる骨粗鬆症がひきおこされます。

3.抗リウマチ薬
(1)疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)

わが国では金製剤のほか、リマチル、アザルフィジンEN、リドーラなどの疾患修飾性抗リウマチ薬(DMARDs)が使われてきました。現在、治療効果が高く評価されているのはMTX(メソトレキセート)という治療薬です。しかしながら腎障害や肝障害、間質性肺炎などの肺障害をおこすことが確認されており、慎重に内服する必要があります。

(2)生物学的製剤

関節リウマチの病状には単球・マクロファージ、滑膜細胞、Tリンパ球などの細胞群がお互いにネットワークを形成し、炎症を増幅していることが判明しています。このネットワークには炎症性サイトカインという物質が関与していることが明らかとなりました。なかでも重要なサイトカインは「TNF(Tumor Necrosis Factor)α」という「腫瘍壊死物質」といわれており、これに対する抗サイトカイン療法の治療薬として開発されたのがエタネルセプト(エンブレル)とインフリキシマブ(レミケード)であり、これらの関節リウマチに対する治療効果は劇的なものです。しかし65歳以上の高齢や糖尿病、過去に肺の病気を患った方などはその使用には注意が必要です。

メソトレキセート(MTX)やエタネルセプト(エンブレル)とインフリキシマブ(レミケード)のような生物学的製剤など、画期的な薬剤の導入により、骨・軟骨破壊を遅延・阻止し、関節リウマチを完全に治癒させることが可能となってきました。

(2)リウマチの外科的治療
イ) 滑膜切除術:リウマチの関節破壊の根源である関節の滑膜を直接切除する方法です。
ロ) 関節形成術
  1. 人工関節置換術:人工股関節置換術(THA)、人工膝関節置換術(TKA)、肘関節、肩関節、手指関節、足関節などに人工関節置換術が行われています。手術を選択するタイミングがとても大切です。
  2. 関節形成術・・・現在は足の趾の変形に中足骨の骨頭切除などが行われます。
  3. 関節固定術
  4. 腱再建術:手関節背側の伸筋腱やまれに屈筋腱の断裂に対して再建術が行われます。
  5. 頚椎手術:環軸椎間(第1頚椎と第2頚椎間)の滑膜炎による環椎、軸椎の亜脱臼により頭蓋底陥入症がおこり致命的になることがあります。
(3)理学療法
1)運動療法
  1. 関節可動域訓練:関節を自分で動かしたり(自動運動)、介助者に動かしてもらう(他動運動) ことにより、関節の拘縮(関節が固まって動かなくなること)を予防します。
  2. 筋力強化訓練:日常生活に必要な筋肉の筋力を維持・強化する訓練が欠かせません。
  3. パワーリハ:リハビリ用の器械を使ってトレーニングを行います。
  4. 姿勢・歩行訓練
2)物理療法

ホットパック、パラフィン浴、極超短波などの温熱効果のある治療が行われます。

(4)作業療法

関節の変形に応じた装具や自助具を使って日常生活のレベル低下を防ぎ、また利便を図ります。


5.最後に

今回、関節リウマチは早期発見、治療がいかに大切かを力説しました。これまで簡単な血液検査とレントゲン検査のみで診断が行われていたために関節リウマチの診断がつかないばかりか、早期に診断されれば関節リウマチからほとんど解放されるはずの病状が知らないうちに関節の骨・軟骨破壊へと進展し、取り返しのつかない状態に悪化していくことが危惧されます。最近では血液検査やMRI検査、関節エコーなど、関節リウマチの診断にひとランク上の有効な手段が開発されています。もしかしたら?と思ったら、かかりつけの先生に相談してください。


医療法人 将優会クリニックうしたに
理事長・院長 牛谷義秀
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