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シックハウス症候群
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最近、景気の回復を反映してか、宮崎市内でも分譲マンションや一戸建て建設が増えてきています。このシックハウス症候群という言葉がマスコミに取り上げられる前の1980年代半ば、筆者が移り住んだ新築アパートが「入室するだけで目が痛くて開けられない、喉が痛い」などの症状に半年ほど悩まされたのを衝撃的に思い出します。このように「家」に関係する刺激物質やいろいろな汚染物質が原因で引き起こされる健康障害のことを「シックハウス症候群」と呼んでいます。英語で「シック」は病気、「ハウス」とは家、シックハウスとは「病気をひきおこす家」と考えれば理解しやすくなります。


1.シックハウス症候群とは?

シックハウス症候群はおもに住宅建材に使われている化学物質が原因で起こる健康障害ですが、最近では消臭・芳香剤などに含まれる化学物質にも人体に悪影響を及ぼすものがあることが知られています。もともとは「シックビルディング症候群(Sick Building Syndrome)」としてオフィスビルの労働者に見られる健康被害として取り上げられました。WHOによればアメリカのフィラデルフィアのホテルで空調設備が原因で集団感染し死亡者が発生した、レジオネラ菌の集団感染症(日向市が運営する温泉で発生したレジオネラ肺炎と同じ感染症)が本格的な取り組みのきっかけとなりました。その後、一戸建て住宅に対するシロアリやダニ対策に使用する薬品の普及とともにシックハウス症候群の被害がクローズアップされてきました。最近では住宅に持ち込む家具や日用品からも化学物質が発生するといわれ、シックハウス症候群の原因はますます多様化してきています。阪神大震災後の新築、増改築の際、多くの人がこの問題を感じているという調査結果も報告されています。


2.シックハウス症候群の症状

シックハウス症候群に見られる、おもな症状は以下のとおりです。

  1. 眼球結膜や鼻、喉の粘膜刺激症状(目がチカチカする、のどが痛い)
  2. 皮膚の紅斑・蕁麻疹・湿疹
  3. 頭痛や長引く咳などの気道感染
  4. 息がつまる感じや喘鳴(ぜーぜーという呼吸音と息苦しい感じ)の出現
  5. めまい・吐き気・嘔吐
  6. 不眠、情緒不安定、易疲労感(疲れやすい)
  7. 化学物質過敏症(一定量の化学物質に暴露されるか、または低濃度の化学物質に長期間暴露されていったん過敏状態になると、その後極めて微量の同系統の化学物質に対しても過敏症状をきたすこと)

このような症状が新築戸建てやマンションの転居後、または家の増改築、リフォーム後に出ればシックハウス症候群である可能性は高くなります。また新しく家具を購入したり、シロアリなどの防虫処理後にも出る可能性があります。シックハウス症候群はアトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患と深い関わりがあると考えられており、「シックハウス関連病」とさえ呼ばれています。


3.シックハウス症候群の原因

新築住居や増改築に際して発生する問題だけでなく、最近ではハウスダストやカビによって起きるアレルギーなども広い意味でのシックハウス症候群として考えられています。シックハウス症候群の原因物質は化学的因子、生物学的因子、物理学的因子に分けられます。

1)化学的因子

接着剤や塗料、芳香剤、殺虫剤などから発生する揮発性有機化合物が代表的です。その種類は数百種におよぶといわれますが、中でもホルムアルデヒドが有名です。ホルムアルデヒドは建築材料や家具を製造する過程で使われる重要な化学物質で、大量生産ができてコストが安く加工がしやすいため、建材として多用されるようになった合板(薄い板を貼り合わせて作る)の接着剤や壁紙用接着剤の防腐剤として頻用されています。人体への影響としては0.08ppmくらいから異臭を感じ、それ以上の濃度では0.4ppm程度で目がチカチカしたり、0.5ppmくらいで喉が痛くなる場合が多いと報告されています。また発がん性も疑われています。

ホルムアルデヒドのほかにもトルエン、キシレン、シロアリ駆除剤、二酸化硫黄、窒素酸化物、塩素、鉱物線維なども原因のひとつとして挙げられています。

2)生物学的因子

カビ、細菌類のほかイエダニ、ペット、花粉などもシックハウス症候群の原因として挙げられます。とくにイエダニは重要なアレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)と考えられています。

3)物理学的因子

高温多湿な環境や光、騒音、電磁波など、住まいの中で人体に悪影響をおよぼすと考えられるものはすべてシックハウス症候群の原因となります。


4.有害物質の規制法

同じ部屋に住んでいても個人差があって、シックハウス症候群の症状が出る人と出ない人がいます。ふだん家で過ごす時間が長い女性に必然的に多くなる傾向があるといわれています。

厚生労働省は室内空気中で高い汚染を示した化学物質のうち、有害事象をひきおこしやすいと考えられる、以下8種類の物質について、「人がその化学物質に一定濃度以下の暴露を一生受けたとしても健康への有害な影響を受けないであろう」、と考えられる指針値を示しています。当初ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、スチレン、フタル酸ジ‐n‐ブチルなどの接着剤・塗料剤・防腐剤やパラジクロロベンゼン、クロルピリホスなどの防臭・防虫剤などが規制の対象でしたが、その後テトラデカン、フタル酸ジ‐2‐エチルヘキシル、ダイアジノン、アセトアルデヒド、フェノブカルブなどが追加されました。

特にホルムアルデヒドを発散する建築材料の使用面積は居室の種類や換気回数に応じて制限されています。ホルムアルデヒドを発散する建材を使用しなくても家具などから発散されており、原則としてすべての建築物に機械換気設備の設置が義務付けられています。住宅では換気回数0.5回/時間以上の機械換気設備(いわゆる24時間換気システムなど)の設置が必要です。


5.建てる前に、購入前に
1)建築前に

建材は化学物資を放散しない、または放散量の少ないものを選び、通風や換気がうまくいくよう、窓や換気設備の位置を考えることが大切です。また実際に入居するまでの間十分に換気することも大切です。

2)建売住宅や分譲マンションを買う前に

物件が気に入っても異臭や目がチカチカするなどの症状があった際は、住宅販売会社に建材の種類などを問い合わせることが大切です。入居してから体調を壊すようではせっかくの入居が台無しです。


6.シックハウス症候群 を出現させやすい住まいの環境

最近の住環境の変化がシックハウス症候群をひきおこしやすい原因のひとつと考えられます。

  1. 建築物などに化学物質を多用していること
  2. 住宅が高気密化されていること
  3. 高断熱化され閉め切ったままのことが多くなったこと

などが大きな要因と考えられます。


7.シックハウス症候群にならないための工夫

シックハウス症候群にならないための対策は発生源の除去と換気です。したがって以下のようなことに注意したいものです。

  1. 新築・増改築、リフォーム後まもない頃は化学物質の発散が多いため、しっかり換気する(押入れ、扉、引き出しなども開放する)。
  2. 高温多湿となる夏は化学物質の発散が増えるため窓を閉め切らない。
  3. 換気設備のフィルターの清掃などを定期的におこなう。
  4. 空気を入れ替える24時間換気システムのスイッチはONの状態がよい。
  5. 新しいカーテン、じゅうたん、家具にも化学物質を発散するものがあるので注意する。
  6. 消臭剤、芳香剤、防虫剤、洗剤、化粧品、整髪料なども原因となり得るので注意する。
  7. ストーブやファンヒーターなどの暖房器具は室内空気を汚染させるので使用は避ける。
  8. 室内での喫煙を避ける。

快適な住環境を手に入れて、健やかなライフスタイルを築きましょう。


医療法人 将優会クリニックうしたに
理事長・院長 牛谷義秀
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